西法寺の鬼瓦が形になったとの報告を受け、住職に同行して奈良の瓦工場に行きました。
写真の方は建築分野において十数人しかいない文部科学省選定保存技術保持者(いわゆる人間国宝)の一人である山本清一氏。工場を案内していただき、これまで手がけられた文化財の模型を拝見いたしました。
同氏は美しさに対して「感じが出る」「感じが出ない」という言葉をよく使われます。「反りがなさすぎると感じが出ない」のように使われます。法隆寺や唐招提寺など伝統建築を守り、継承する立場として、これみよがしな意匠ではない、言葉では表しにくい繊細な美しさを追求してきたことは自他ともに認めるところだと思います。一方、技術的なことはかなり理論的に分かりやすく説明してくれます。
説明のつかない自身の「感じ」を信じ、理論的に「性能」を詰めていく当代比類なきデザイナーである親方が、最後にひとこと「こんなことばっかやったらあきまへんで・・・」
建築に生きる理想の姿に接することができました。