この建物は江戸東京たてもの園にある前川國男の自邸です。
ここでちょっと前川國男について・・・
1928年東京大学を卒業後、渡欧。パリのコルビジェの事務所で建築を学びます。
帰国後、レーモンド事務所を経て、事務所設立し、数々の名作を残します。日本における近代建築の父のような存在で、あの丹下健三も前川事務所のOBです。
この住宅について・・・
1942年に竣工したこの建物は、戦時下の伝統再考(国家の機運を高めるため日本の伝統文化を再評価する動き)の影響がみられます。私の憶測ですが、コルビジェの下で学んだ建築家が、この民家風の伝統的な形態を採用するのはかなりの葛藤があったと思われます。しかし、内部の空間構成や開口部の取り方は、現代の我々の目にも新鮮に映ります。
前川は欧米の近代建築の理念を日本の風土にどのように定着させるかを模索した建築家。その後、丹下健三をはじめ多くの建築家により、その挑戦が続いてきました。現代では、環境問題も顕在化し、さらに気候風土に対する感心が高まってきました。
そこで、何が出来るのか・・・・考えなければいけません。