
「寝食を一室の空間とすること」
「朝日で目覚めて、曇りの日も明るいこと」
いつか身体が自由に動かなくなる日がきても、暮らし続ける終の住処として、明るい住まいを目指しました。
わたしたちは「木をふんだんにつかうこと」を提案しました。
特に2Fは柱のないワンルームとし、天井は松の大梁をあらわし、梁の間や塔屋からたっぷり光を取り込んでいます。
仕上げも木やしっくい、障子など光を受けてさまざまな見え方をする素材を選びました。
茨木のり子さんの「倚りかからず」という詩があります。
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれくらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
何不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
長く暮らしてきた街で、これからも多忙な日々を過ごしながら
束の間、コーヒーを飲んだり、花を手入れしたり、床を綺麗にしたりするとき
倚りかかることのできるような家になれば、と思います。
あとすこしで完成です。
たけうち