一昨年から取り組んでいました福岡県直方市植木にある
願照寺門信徒会館・納骨堂 が竣工しました。
この地区最大規模の本堂と門徒数を誇る浄土真宗のお寺で
境内に入ると大きな屋根が特徴的な本堂が出迎えてくれます。
設計を始める際に主題となったのはお寺の主役は本堂であるという考えでした。
そのため計画建物は本堂の外壁ラインよりも控えた場所に位置しており、エントランスをくぐると、本堂の床高と同じ高さで延長されたスラブが門信徒会館・納骨堂の顔になるように計画しています。
また訪問される方はご高齢の方も多いため、1F門信徒会館、2F渡り廊下、3F納骨堂という3つの機能を外部からも見ても分かりやすいようにそれぞれ外壁の仕上げを変え、3つの箱によって構成されたファサードを創りました。
これらの機能を吹き抜けによって一続きの空間にすることによって普段は近寄り難い印象を持たれる納骨堂を本堂や門信徒会館をきっかけとして、より身近なものに感じてもらいたいなと思っています。
また、年2回行われる法要に参加させていただいた際に大きな本堂がいっぱいになるほど、たくさんの人が訪れていることがわかり、門信徒会館も畳の間にとどまらず、外部空間や廊下を拡張して使えるように広い廊下と縁側を近接させ、建具をとれば様々な催しごとに対応できるようになっています。
お寺は本来、仏像が祀られ、出家者が住まい、修行を行う場所ですが、
江戸時代には寺子屋の登場によって学び舎のような使われ方をしたり結婚式をしたり、お葬式をしたり、縁日がおこなわれたりと
地域の人々にとって日々の暮らしの延長線上にある場所ではないでしょうか。
少し特別な場所ではあるけれども、身近な存在。
そんなお寺の門信徒会館・納骨堂として多くの人に利用してもらえる建築になってほしいなと願っています。
(穴井)