昨年から始まった、北九州のタンガテーブルにて建築史家の
倉方俊輔氏をゲストにお招きし、
公開レクチャーを行っていただくイベント 『建築テーブル』
本年度最初のテーマは
早わかり近現代の建築史
「らしさ」の建築 開国から第二次世界大戦以前
でした。
今回取り上げていただいた1854年~1945年は西洋文化が日本に広まり始めた時代で、
現在「レトロな建築」と言われてているものの多くがこの時に誕生しました。
この時代は建築全体、部屋で「らしさ」を求められ
そこで生活する人の振る舞いも「らしさ」を求められた時代でした。
人々は「変わらない価値」を求めていました。
テレビで貴族の格好で当時を模した言葉遣いや
服装をした再現VTRを目にする事がありますが、
その時は社会、建築、部屋が
人をそうさせていたのかもしれません。
そんな社会背景の中、日本は西洋に追いつくために様々な分野でいわゆる「お雇い外国人」を日本に招きます。
建築分野でやってきたのが、
「鹿鳴館」「旧岩崎邸」などの設計で知られている
イギリス人建築家 ジョサイア・コンドル(=以下 コンドル)でした。
東京帝室博物館本館※現存せず のファサードにインド風の小塔を用いたことからもわかるように
クライアントからお願いされたものをそのまま再現するのではなく、
アジアの中の日本にはどんな様式が合うのかを模索して
建築を考える人であったことが伺えました。
東京大学で教鞭をとり、日本近代建築を代表する建築家 辰野金吾、片山東熊、曽禰達蔵らを輩出し日本全体に近代建築が広まって行きます。
レクチャーの中では日本銀行本店をはじめとして
東京・大阪の近代建築と、北九州にある近代建築を織り交ぜながら解説していただき、
建築専門ではない方も、自分の暮らす街にある近代建築について詳しく内容を知れるきっかけになったのではないでしょうか?
講演後の会場からの質疑応答では、
・なぜレトロ建築にはレンガ造が多いのか?
・コンドルの教え子たちはコンドルからどのような影響を受け、その後 社会に影響を与えたのか?
など、非常に興味深い質問も飛び交いました。
この「建築テーブル」を通じて、建築への興味を高めていただきたいのと同時に、
自分の暮らす街、建物への愛着をより深めていっていただきたいと思っております。
今回、事前にご連絡をいただき、当日ご都合が合わず来れなかった皆様や
当日来場された方の為に復習キーワード集を作成しました。
気になる項目は是非、各自で調べてより知見を深めていってくださいね。
●建物 (場所/設計者) ※現存するもの
カーディフ城 (イギリス ウェールズ / ウィリアム・バージェス)
泉布観 ※ 元 大阪造幣局 応接所 (大阪府 / T・J・ウォートルス)
日本銀行本店 (東京都 / 辰野金吾)
旧日本生命九州支店 (福岡県福岡市 / 辰野金吾)
旧松本邸 (福岡県北九州市 / 辰野金吾)
旧岩崎邸 (東京都 / ジョサイア・コンドル)
赤坂迎賓館 (東京都 / 片山東熊)
旧大阪商船神戸支店 (兵庫県神戸市 / 渡辺 節)
北九州市旧大阪商船 (福岡県北九州市 / 河合幾次)
●人物
・トーマス・J・ウォートルス (元 大阪造幣局 応接所の設計者)
・ウィリアム・バージェス (コンドルの建築の師)
・ジョサイア・コンドル (日本近代建築の父、東京大学建築学科)
・河鍋暁斎 (ジョサイア・コンドルの日本画の師)
・辰野金吾、片山東熊、曽禰達蔵
※(コンドルの代表的な教え子)
・葛西 萬司 ( 辰野金吾と辰野葛西設計事務所を開設 東京)
・片岡 安 (辰野金吾と辰野片岡建築事務所を開設 大阪)
・小川 三知 (旧松本邸のステンドグラス制作者)
・渡辺 節 (村野藤吾が影響を受けたとされる建築家)
・村野藤吾 (モダニズム建築の代表的な建築家 次回レクチャー予定)
次回は「らしさ」建築からモダニズム建築の話しへと繋がって行きます。
是非ご友人、お知り合いをお誘いの上ご参加ください。
次回開催予定日
2017年10月2日(月)18:30~@Tanga Table です。
また9月初旬に弊社HPにて再度アナウンスさせていただきます。
お楽しみに!
(穴井)